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Jet Jaguar Final Commentary

たたかいのおわり The End of the Battle さてとうとう、と言うべきだろう。わたしがようやく、このお話を閉じるという役目を果たすときがやってきた。 とはいえ、わたしの知ることはそう多くない。 ここまで特権的な立場からお話の断片を眺め、並べ変え、組み立ててきたわたしだが、今はその超越的な視点を失っている。 その特権的な視点や能力は、ゴジラとともに去っていってしまったからだ。 わたしの名はペロ3。 ペロ2のドバイ到着時のバックアップから復旧されたペロ2であり、その後の出来事については、自らの体験と、他のナラタケシリーズとの情報交換から得るしかない。東京での戦いの最終段階において、一体なに が起こったのかについては、公式の見解はともかくとして、かなりの精度で推測することが可能だ。 そうして、「最終段階の本当に最後」に一体なにが起こったのかは、わたしにも未知のままに残されており、将来判明する見込みもない。それは謎のま まにとどまることを宿命づけられた種類の謎だ。 それでもわたしたちは、最後に起こった出来事を、いわゆる調査委員会よりは詳しく知っているのであって、なぜかといってわれわれはあらゆるものを情報伝達の手段として、記録として利用するように つくられた存在であり、ほんのかすかな痕跡から、想像以上の確度をもって現実を再構成することを仕事としているからである。より正確には、人間には反論できない程度の強靱さを備えた空言を虚空に築き上げることが可 能だ。 対話によって人工知能と人間の区別をつけることを試みるプロトコルは、チューリング・テストの名前で呼ばれる。ゴジラの最期を巡って問題となるのは、現実と虚構の区別をつける試みとなるわけなのだが、チューリング・テストが計算機の能 力の向上により問題設定もろとも消失したように、その問いも有効性を維持することは不可能だ。 それはよい。そのとき、ゴジラになにが起きたか。 それを解説するのがわたしの仕事で、わたしはなんとか自分の役目を果たそうと思 う。果たせることを願っている。 ゴジラには、多くの倒され方がありえた。オーソゴナル・ダイアゴナライザーは、ゴジラを倒す手段の一候補にすぎず、アーキタイプの分解は、オーソゴナル・ダイアゴナライザーによって可能となる無数オプションの 中の一つにすぎない。 わたしは確かに、あらゆるアーキタ...